柳美里の文庫本のあらすじ

著者紹介:自分の周りの出来事を小説化した私小説が多いのが柳美里の特徴。エッセイや戯曲、対談集なども数多く執筆している。出版差し止め、脅迫によるサイン会の中止などのトラブルに巻き込まれた経緯もあり、読者によって好き嫌いの分かれる作家でもある。1997年に「家族シネマ」で第116回芥川賞を受賞。


雨と夢のあとに

蝶の撮影で海外に出かけたきり、10日間も音信不通だった写真家の父が帰ってきた。ひとりで留守番していた12歳の少女・雨は喜びも束の間、右手に火傷を負ってしまう。手当てをしてくれたのは隣室の女性・暁子だった。父との楽しい毎日が戻ったかに見えたが、雨の周りでは奇怪な出来事が次々と起こる。そして、突然現れた実の母親が、雨に衝撃の事実を告げる―。精緻な筆致で家族とは何かを問う幻想ホラー小説。
ISBN:978-4043437085(角川文庫)

8月の果て〈上〉

日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。
ISBN:978-4101229317(新潮文庫)

8月の果て〈下〉

1940年、東京オリンピックは幻と消えた。失意の日々、肌の温みを求める女たちを捨て、雨哲は故郷を去り、一方、娘たちを夢中にする美しい容貌と、兄譲りの健脚に恵まれた弟・雨根は、いつしか左翼運動に深く傾倒した…小説家柳美里が、国・言葉・肉親、すべてを奪われた無名の人々の声に耳をすまし、自身の生につらなる日本と朝鮮半島の百年の歴史を、実存の全てを注ぎ描きあげた傑作。
ISBN:978-4101229324(新潮文庫)

石に泳ぐ魚

競馬に狂った父親。次々と男をとりかえる母親。危うい家族の風景の中に、劇作家、秀香の孤独は屹立していた。韓国での会見では仲介者の裏切りに遭い、日本の演出家は彼女の作品を踏みにじる。「柿の木の男」の温もりと、美大受験生、里花の奔放さだけが、そばにあった。真っ直ぐな孤独は、いつも何かに挑みかかり、深く傷つき、彷徨い漂う。生きることの凄絶さを捉えた傑作処女長篇。
ISBN:4101229309(新潮文庫)

いじめの時間

「いじめられる子」と「いじめる子」。ふたりの間に横たわるのは、暗くて深い心の闇。でもいつのまにか両者が入れ替わったり、互いの傷を舐めあっていることもある。さまざまな「いじめ」に翻弄され、心が傷つき、魂が壊れることもあるけれど、勇気を出して乗り越えていく者もいる。希望の光が射し込むこともある―すべて「いじめ」をテーマに描かれた7人の作家による入魂の短篇集。
ISBN:4101339619(新潮文庫)

言葉は静かに踊る

わたしは本に恋をしている―。人生のさまざまなシーンで出逢った本たちを綴る読書日記&エッセイ。太宰治、フィッツジェラルド、谷崎潤一郎、ルイス、山田風太郎、ポオ、村上春樹、バロウズ、向田邦子…etc.あなたを生きている言葉の世界へと誘う、百冊以上の名著が登場。本を心から愛する作家・柳美里にしか書けないスペシャルブックガイド。
ISBN:4101229279(新潮文庫)