悲しき熱帯
日に晒され、風になぶられて、少年は大人になる。熟れた果実、ぬめる魚、影を描いて低く飛ぶ鳥たち─。季節のない島で、すべてのものは自らの物語を朽ちていく。だから、絶望的に動かない熱い空気の列を震わせて、黒い肌の少年が妹のために振り上げた汗まみれの拳は全生物的なものだ。人はある土地に生まれ、その自然に染まり、犯され、そして死ぬ。「犬と戦う鶏」「飛べないスーパーマン」「眠っている珊瑚礁」「鐘が鳴る島」「顎のない小人」…。耳を澄ませば、あらゆるものからせつない呻きが聞こえてくる─。幻の名作、いきなり文庫で登場! 解説・栗本慎一郎
ISBN:4041586011(角川文庫)
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